メリットのない賃貸物件

メリットのない賃貸物件

メリットのない賃貸物件

メリットのない賃貸物件
物心付いたころから実家の隣の建物を賃貸していました。隣と言っても実家と隣り合わせで隙間のないいわゆる二戸一住宅で、切り離して存在できるものではなく、常にセットで考えねばならない物件でした。どういう過程を経て貸すことになったのか、父親はついに終生それを私に語って聞かせることはありませんでしたが、サラリーマンである父親にとって副収入となる家賃収入が入ることはいいことだと思っていました。しかし家賃の額を聞いて愕然としました。当時小学生だった私のおこずかいとほとんど変わらなかったのです。小学生でもわかる安すぎ家賃です。別の考え方をすれば私のおこずかいは家賃でまかなわれていたのです。そういうとすごい額のおこずかいをもらっていたような印象さえ与えかねませんが、家賃は実に2、000円/月で、私のおこずかいは1、500円/でした。

父親いわく昔からこの金額なので値上げできないとのことでしたが、ゆくゆくは私が所帯を持てばそこに住んでほしく思っていたようで、それまではこのメリットのない賃貸を続けて、その代り子供が結婚すれば店子には無条件で退去してもらうという一方的な暗黙の了解があったようです。そしてその暗黙の了解の方翼は叶えられ、私が成人して間もなく、店子は静かに退去して行きました。

しかし、もう一方の翼ははためくことなく、家を出た私は二度と戻らず、父親は鬼籍へ入りました。それでも人生の終盤戦になって戻ってきた家にあれこれ手を入れて楽しんでいたようなので、長いノーメリットの賃貸も意味があったのかなと思っています。

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